ルチア―願いを叶える者
この感じ…
「魔物が…」
私の言葉に皆が周りを見渡した。
違う…
この近くじゃない。
「こっち…」
路地を指差す。
ここから嫌な感じがする。頭が重い…
「うわぁぁぁっ!!!」
まもなくして子供の悲鳴が聞こえた。
お願いっ…
間に合って!!!
死なないで!!!
路地に駆け込むと、そこには…
魔物と小さな男の子がいた。男の子はガタガタと震えながら魔物を見上げる。
「やめて…」
『殺シタクナイ』
…え………?
声が聞こえた。
頭の中に直接響くような、悲しみに満ちた声。
気の…せい……?
「グギャギャギャギャーッ!!」
魔物が男の子に襲い掛かる。
「させるか!!!」
シェスの剣から放たれた氷が盾となり魔物の攻撃を防ぐ。