ルチア―願いを叶える者
「どうしたんです?随分とうなされてましたよ。どこか痛みますか?」
アルの問いに私は首を横に振る。
「私は…大丈夫。少し…怖い夢を…」
「怖い夢…ですか…」
アルは私の額に張り付いた髪をはらう。
「大丈夫です。夢は夢でしかない。捕われてはいけませんよ」
「…うん……」
夢は夢でしかない…か…
本当にそうなのかな。
私が救えなければ、あの夢が現実になるんじゃないかな…
ルリの願いが叶ってしまったら…
誰もいない。
悲しい世界になってしまう。
そんな気がする…
だとしたら…
想像するだけで恐ろしい。あんなの…
絶対嫌……