ルチア―願いを叶える者
「…………。また何か、考えているのですか?」
「…え……?」
アルは私の眉間を突く。
「シワが寄ってます。それから…」
アルは私の手に触れる。
「こうやって胸元の服を握っている時のあなたは良からぬ事を考えています」
「あ…あれ、本当だ…」
アルに言われて初めて、知らず知らずに胸元の服を握りしめている自分に気付く。
自分にこんな癖があったなんて…
思わず苦笑いをしてしまう。
そんな私の前が少し陰った。
「え………?」
目線を上げると、覆いかぶさりじっと私を見つめるアルと目が合った。
「アル…?」
「…俺は…」
「え………?」
アルは何故か思い詰めているように見えた。
アル…どうしちゃったんだろう…