ルチア―願いを叶える者
「まだ花音の心には寄り添えませんか…?」
…え……?
アルの言葉の意味が理解出来ない。
違う…分かってるんだけど…
理由が分からない。
「私…十分救われてるよ?」
十分すぎるくらいみんなは私の心のよりどころになってる。
だから、今さらだ。
とっくに支えてもらってる。
これ以上は欲張りすぎるから…
「でも、あなたはまだ何かを抱えていますね?」
「あ…そんな事……」
「無い…と言えますか?俺の目を見て」
あ……
無意識に俯いていた顔を上げる。
嘘をついてうしろめたい気持ちがあったからか、俯いてた。
これじゃぁ…説得力ないや…
「でも…本当に私…」
「俺はもっと近づきたい」
「!!」
―ドクンッ
胸が痛い。
でも…嫌な痛みじゃない。
体が甘く痺れるような…
心が満たされるような…