ルチア―願いを叶える者
愁う心を残して
―――――――――――
―――――――――
―――――――
見上げたそこには青空が広がっている。
雲一つなく快晴な空。
私達は晴れて出航する事が出来た。
「船を出してくれてありがとうございます」
私は舵を取るダンさんに声をかける。
ダンさんは助けた親子のお父さんだ。
驚く事に、ダンさんは船乗りだった。
「いえ、あなたのおかげでこうして日の下を歩く事が出来る。こんな事で恩返しになるかわからないが…」
ダンさんの顔は穏やかだった。
よかった……
こうやって笑顔が見られただけで、命を賭けた価値があったと思える。
あれからアルとは気まずくなってしまった。
私が…
避けてしまってる。
好きだけど…
好きだからこれ以上は…
別れが辛くなるだけだから…
だから自分に言い聞かせる。前だけを見られるように…
「…何かあったのか…?」
空を見上げていると、いつの間にか隣にシェスがいた。