ルチア―願いを叶える者


「その手は今―…」


ふいにいつも私を剥げましてくれた歌を口ずさむ。


「掴むべきものを見失って―…」


私に…前へ進む勇気をくれた歌…


「広い世界 空の下で今
立ち止まってる―…」


歌声だけが響き渡る。



「私の行く道は?
叶えたいものは?
ひたすらに問いかけて―…」

「あなたが願い 私は歌おう
あなたが必要とする私に
私はなろう」

「ただ冷たいこの世界に
淡い光を感じた
小さな道標を 頼りに私は行こう―………」


誰もいない庭で、私は一人で歌う。



あの世界で…
唯一、好きだと思えたこの歌を…


最初で最後に
愛した居場所を想い歌う。











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