ルチア―願いを叶える者


「…………………」


歌い終えると、また静けさが帰ってきた。


…少し心が晴れた気がする。



月を見上げた。
前に歌ったあの夜の月も綺麗だった。


シェスが私の安全を考えて遠ざけようとしたあの日…


長い時間をベレスレリアで過ごした気がする。


「私にとってこの世界は…」



居場所であり、守るべきもの。



「ねぇ、ルカ…」


私の中で眠っているだろうルカに問いかける。



私は……


「私はあなたの望むルチアになれた…?」


望んではしまったけれど…
私は後悔していない。


決められていた運命の元、私はルチアになったけど…


「力を使ったあの日から、この運命は私が選びとった運命だから…」


最後まで……


「私と一緒に歩んでくれる…?」


ルカ…………










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