ルチア―願いを叶える者
「あなたが…悲しそうに歌うから…。気にかかって眠れないんですよ」
それって……
「あなたが…泣いているのかと思いました…」
私が泣いてると思って来てくれたの…?
「今日はすみませんでした。あなたが抱えてるものを知らずに…」
「でもそれは…。私だって何も話さないくせにあんなこと…」
私の八つ当たりなのに…
「私…少し思い詰めてたのかもしれない…」
ポツリとそう漏らすと、アルは黙って耳を傾けてくれる。
「託されたものが大きすぎて、私には…重すぎて…」
なんで私なんだろうって…
「私、みんなの生きるこの場所を守りたい。だからこの運命を進むって決めたけど…」
やっぱり悲しい…
守った後、私は?
私はみんなと一緒にいる…?
失ってきたもの、これから失うもの…
それが、私のこの先の未来を奪うものだとしても…