ルチア―願いを叶える者
「…今さらあなたを…消す事なんてできるはずない…」
「あっ……」
アルが私を抱き寄せた。
壊れ物を扱うように、優しく抱きしめられる。
「…こんなに…あなたを想っているのに…」
「!!!」
そんな……
そんな事言われたら…
「誰よりもあなたの傍に在りたいんです…」
「言わないで…言わないでよ…」
―ポタンッ
涙が流れた。
一度流れると関を切ったように溢れ出す。
「…今さらっ…言わなかった事になんて出来ませんよ!!」
アルは声を荒げた。
アルがこんなに感情的になるの初めてみた…
「あなたを…俺は好いています…」
…私………
私だってあなたが好きなの…
でも…
言うことは許されない…
出来る事ならずっと…
あなたの傍にいたかった…
「…私…は……」
でも言わなくちゃ…
未来の無い私は、この人の未来を奪ってはいけないから…