ルチア―願いを叶える者
「この世界は今までにない危機を迎えています」
「あぁ…一刻も早く手を打たないとな」
そうか…シェスは民の事を救いたいからこんなに必死なんだ。
私には…何が出来る…?
「私、シェスとアルの願い叶えたい。でも、この力は使えない…。けど…」
私も…二人を助けたい。
「私も一緒に手伝わせて」
「花音…。あぁ、頼んだ。一緒にこの国を救ってくれ」
「シェス…」
ありがとう……
私、頑張ろう。
この国を守ろうとするこの人達の為に…
「それにしても、あなたは自分の為に力を使わないんですか?その力があれば、ルカという人も見つかるのでは?」
「お、そうだ!せっかくの力だ、自分の為に使えばいいんじゃないか?」
私は無言で首を振った。
「この力は使わない。私が死ぬまで、絶対に使わないよ。ルカとの約束なの」
「そんな約束破ったとしても、ルカさんにはばれないのでは?」
「アル、お前な…」
そうかもしれない…
確かにルカには分からない。
でも違うんだ…
私はルカに今度こそ幸せになって欲しかったから…
「私が力を使ったら、幸せになれない人がいるから…。あの人を泣かせない為に私はこの力を使わない」
約束だもん……
「良く分かりませんね、でも…」
アルが私の髪を一束掬い、口づけた。
「わわっ!!?」
「そこまで揺るぎない瞳をあなたにさせる決意…美しいです」
う、美しい!!!?
「あくまで"決意"ですが」
「強調しなくても…」
「勘違いされては困りますから」
「アル、花音を弄って遊ぶな。そろそろ休ませてやらないと、飯も今日は部屋に運ばせよう。国王には俺から話しをつける」
シェス………
やっぱり優しい!!!
「では俺は花音を部屋に送ります」
「ひゃあぁぁ〜っ」
「なんです?その悲鳴は」
「花音、何かあったら大声で叫べ」
「もちろん!!!」
「花音、部屋までの道のり、楽しくなりそうですね?」
ひゃあああ〜っ!!!!
怖いいいいっ!!!!
そんなこんなで、私はアルにこてんぱんにけなされて部屋へとたどり着いたのだった。