ルチア―願いを叶える者


『私が愛した人は国の王でした。他人から見れば彼は残酷で、冷たい人間に見えたかもしれません。でも…』


まるで思い出すように花鳴は遠くを見つめる。


『誰よりも、争いが嫌いだった。だからこそ彼は冷酷でなければならなかったのです』


―そして……
そんな悲しい彼だから…


「!!!」


また…
また声が聞こえた。


これは…花鳴の……?


『私は彼の苦しみと優しさに触れ、彼の為に力を使う事を選びました』


―彼になら…
他人の痛みを自分と置き換える事が出来る彼なら…
私の力も正しく使ってくれる。そう思うから…



『そして彼は、争いを収めた。彼が守るなら、きっと世界は美しく在るでしょう』


―彼なら…命従という力を正しく使ってくれる…


命従……


従える力……?










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