ルチア―願いを叶える者
『始まりのルチアよ。お前の答え、嬉しく思う』
光は微笑んでいるように見えた。
『お前に始まり、数多のルチアが同じ答えを導いたとしたなら…』
光は大きく光出す。
『この世界は永劫に存在するだろう』
『…あなた様が生んだ世界です。私はあなた様に本当に感謝しています』
花鳴は深々と頭を下げる。
『感謝…か…。我はお前の命を奪ったと同じだというに…』
光の言葉に、花鳴は首を横に振る。
『私が死んでも、私が彼を愛した事、この子が私に愛された事は変わりません』
『…我が子がルチアになるとしてもか?』
『はい。それでも、この子が生まれる事が出来るのなら…』
―あなたを産む変わりに、いつか、あなたがルチアという宿命に苦しんでも…
『この子に生きて欲しい。一瞬でもいい、誰かを愛し、誰かに愛されて欲しいのです』
―私の大切な子…
共に生きる事は出来ないけれど…
『愛しているわ…私とレム様の宝…』
花鳴は涙を流す。
別れる辛さか、生まれてくれる事への喜びか…
涙は止まる事はなかった。
『名を…花音と…。あなたの一生が、幸せでありますよう…』
―ドクンッ
花音……?
なぜか心臓が早く脈打つ。
『お前の願い、しかと受け取った。ゆっくりと眠りにつくが良い…』
光が花鳴を包み込む。
花鳴は天を仰いだ。
―レム様、花音…
どうか幸せに…
そして私の視界も闇へと一変した。