ルチア―願いを叶える者


「帰ってきて下さい…」


誰かが私を抱きしめている。ゆっくりと視界が開かれていく…


「もう…あなたを一人にはしません。だから…」



その言葉に私は笑みを浮かべる。


この人だ…
ずっと、私を呼んでくれた人…


「アル…」


私はアルの背中に腕をまわす。


「っ!!?」


アルの体がビクッと震えた。


「花…音……?」


アルは確かめるように私の名を呼ぶ。


「…うん…。私だよ…」


ちゃんと戻ってきたよ。
あなたの所に…


「…あぁっ…良かった!!」


アルが私を強く抱きしめる。


苦しい…
でも…嬉しい……


涙が溢れた。


もう一度会えて良かった。









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