ルチア―願いを叶える者


「俺は、ルチアの歴史をこの目で見ました。隠し事はもう出来ませんよ」


「…どこまで……?」


「あなたがルカさんの生まれ変わりで、ベレスレリアに召喚される最後のルチアである事。それから悪魔とルリの事…ほとんど全てです」


そんな事まで……


それを知ってアルはどう思ったのかな…


死ぬって分かって、やっぱり私を好きじゃなくなった?


「どうしてもっと早く話してくれなかったのですか!!」

「え……?」

「もっと早く…話してくれれば…。いえ、俺が気づいていれば…」


アルはまた私を抱きしめる。


なんで…
そんな悲しそうなの…?



「あなたの命を犠牲になんてさせなかった!!!」


…アル……
私の命を大切に思ってくれるの?


私がいなくなったら悲しんでくれる?


「あなたと…共に生きていきたいんです…」

「…私も………。私もあなたと生きたかった…」

「っ…」


肩が冷たい。
それがアルの涙だと気づくのに、そう時間はかからなかった。












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