ルチア―願いを叶える者


『…こう見ると、花鳴を見ているようだな…』


「…嘘………」


目の前の男性は私を見て優しく微笑む。


ありえない…
だってあなたは……


「レム…?」


私のお父さんだ…
お母さんがこの世界で出会い愛した唯一の人…


『そうだ。我はレム。帝国ガルディアの王だったレムネルド・ガルディア』


…信じられない…
会う事なんて出来ない人なのに…


この時間のベレスレリアには存在するはずないのに…


『美しくなったな…。花鳴が残した宝だ…』


宝……
お母さんも私をそう言ってた…


「お父さん…なんだよね…?」

『あぁ。お前は我と花鳴の血をひく唯一の子だ…』


あぁ…
私にも家族がいたんだ…


ちゃんと家族が…


「良かった…。私、ずっと一人だって思ってたから…」


―ポタッ


涙が黒い床に落ちては消えていく。


『我もだ…』

「え……?」


お父さんの声に顔を上げると、お父さんは泣いてた。









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