ルチア―願いを叶える者
『あぁ…なんて幸せなんでしょう…』
お母さんは涙を流す。
それにつられて私も泣いてしまった。
『でも…レム様』
お母さんは急に真顔になった。
―ドクンッ
嫌な予感がする。
どうかまだ…
そう願ってしまう…
『私達は在るべき場所へ還らなければなりません』
『…あぁ…。そうだな…』
お父さんとお母さんは同時に私を見る。
「お父さん…お母さん…」
…そうだ…
二人はもう私とは同じ時間を生きていない。
一緒に生きる事は出来ない。
『花音…私達の愛しい子。忘れないで、あなたは私とレム様に愛されて生まれたのよ』
「…お母さん……」
うん…
今なら分かるよ…
私も一人じゃなかったんだって…
『我達の子だ、お前は強く、誰よりも優しい人間になれ』
「お父さんっ…」
もうお別れ…なんだ…
二人は私に、一生分の愛情を今くれようとしてる。
なら私は……