ルチア―願いを叶える者


「お母さん。私、お母さんみたいに最後まで諦めない。この世界を救いたい。最後まで、この世界を愛すよ…」

『えぇ、あなたなら出来るわ。見失いそうになったら、愛するものを想い浮かべて。そうしたらまた進むべき道を見つけられるわ』



愛するもの……

今なら沢山想い浮かぶ。
それが私の道…



「お父さん、私は…お父さんみたいに強くなる。この手で、守りたいものを守れるくらい強く…」


『なら弱さを受け止めろ。受け止め、認めて初めて本当の強さを手に入れる事が出来る。己の力を見極め、世界を見渡せ。時には力を借りる事を忘れるな』


…弱さを受け止め、認める。今まではその弱さに溺れているだけだった…


「肝に命じます。お父さん」




私が立ち止まらないように、見ててね…



『レム様、今度こそ共に』


お母さんはお父さんに手を差し出す。


『あぁ。お前と共にどこまでも…』


お父さんはお母さんの手に自分の手を乗せる。



『アルさん。花音を頼みます』

『お前になら、任せられる』


お母さんとお父さんはアルに笑みを向ける。


「…俺の命を賭けて、彼女を守ると誓います」


アル……


アルは深々と頭を下げた。



『悔いのないように生きて、花音』

『お前の事を、我達は永久に愛している』



二人の姿がゆっくりと、でも確実に消えていく…



「私…私っ…」


涙が邪魔してうまく喋れない。


「花音…俺がいます…。大丈夫…深呼吸をして」


アルに言われて深呼吸をする。


「………産んでくれてありがとう!!!私…幸せっ…よ!!!」


消える瞬間、二人は笑っていたように見えた。


…大好き……
私の大切な…


「お父さん…お母さんっ…」



ありがとう……
さようなら………










< 326 / 403 >

この作品をシェア

pagetop