ルチア―願いを叶える者
「お母さん。私、お母さんみたいに最後まで諦めない。この世界を救いたい。最後まで、この世界を愛すよ…」
『えぇ、あなたなら出来るわ。見失いそうになったら、愛するものを想い浮かべて。そうしたらまた進むべき道を見つけられるわ』
愛するもの……
今なら沢山想い浮かぶ。
それが私の道…
「お父さん、私は…お父さんみたいに強くなる。この手で、守りたいものを守れるくらい強く…」
『なら弱さを受け止めろ。受け止め、認めて初めて本当の強さを手に入れる事が出来る。己の力を見極め、世界を見渡せ。時には力を借りる事を忘れるな』
…弱さを受け止め、認める。今まではその弱さに溺れているだけだった…
「肝に命じます。お父さん」
私が立ち止まらないように、見ててね…
『レム様、今度こそ共に』
お母さんはお父さんに手を差し出す。
『あぁ。お前と共にどこまでも…』
お父さんはお母さんの手に自分の手を乗せる。
『アルさん。花音を頼みます』
『お前になら、任せられる』
お母さんとお父さんはアルに笑みを向ける。
「…俺の命を賭けて、彼女を守ると誓います」
アル……
アルは深々と頭を下げた。
『悔いのないように生きて、花音』
『お前の事を、我達は永久に愛している』
二人の姿がゆっくりと、でも確実に消えていく…
「私…私っ…」
涙が邪魔してうまく喋れない。
「花音…俺がいます…。大丈夫…深呼吸をして」
アルに言われて深呼吸をする。
「………産んでくれてありがとう!!!私…幸せっ…よ!!!」
消える瞬間、二人は笑っていたように見えた。
…大好き……
私の大切な…
「お父さん…お母さんっ…」
ありがとう……
さようなら………