ルチア―願いを叶える者


「我ハ…我ハ……」


触れた場所からとてつもない悲しみが流れ込んでくる。


―我ハ一人…


―何故我ヲ置イテ逝ッタノダ…?


―愛シテイタノニ…
愛シテイルノニ…



「…ごめんね…。ずっと一人で辛い思いをしてたんだね…」


そのまま死神を抱きしめる。



―バチバチバチッ


「っ…」


体が痛い…
でも、この人が受けた痛みに比べたら…


こんなもの、どうってことない。


「背負ってくれてありがとう。あなたがいたから、お父さんは歩き出せたの…」


悲しみや苦しみを死神が負ってくれたから…


あの人は今の幸せを手に入れる事が出来た。


あなたがいたから…







< 334 / 403 >

この作品をシェア

pagetop