ルチア―願いを叶える者


「…くっ……うぅっ…」

「…………?」


うめき声が聞こえて振り返ると、ルリが苦しそうに頭を抱えていた。



「ルリ!?」

「ぐっ…あぁっ!!」


ルリの周りに風が吹き荒れる。


そういえば……
私が炎にのまれる寸前、ルリが私の名前を呼んだ気がした…


それも切羽詰まったように必死に…


私の気のせいかもしれないけど、ルリは私の事…


幼い時に会った事を覚えてるんじゃ…


「っ…うるさいっ……うるさいっ!!!お前は眠っていろ!!」

「…ルリ……?」



ルリは誰かに話し掛けている。


ルリ……?
一体どうしたの…?


「様子がおかしいですね…」

「うん…」


「それに、ルリがおかしくなってからローブの男達が動かなくなりました」



アルの言った通りで、ローブの男達はいっせいに攻撃を止め、立ち尽くしている。


まるで、糸の切れた人形のように…



「何が起こってるんだ…?」

「急に攻撃が止みやがった」



シェスとロイが私達の元へと戻ってきた。



「…うぐっ…はぁっはぁっ…」



荒い呼吸を繰り返し、苦しそうに自分の体を抱きしめる。










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