ルチア―願いを叶える者


「花音………」


全てを知っているアルが私を背に庇う。


「アル……」


私は確かに、帝国ガルディアの血をひいてる。


でも、お父さんが守った帝国ガルディアはもう…


「私…のお父さんは、レム・ガルディアです。私も、ガルディアの王の血をひいています。それは事実です」


包み隠さず、胸を張って言い切る。


お父さんの子供である事に後悔も後ろめたさもないから。


私はあの強くて凛としたお父さんの子供である事を誇りに思う。


「そうであったか…。話してくれた事、礼を言うぞ」


国王様は優しい笑みを私に向ける。


「怒らないんですか…?」


昔の王の子供とは言え、帝国ガルディアの王の血をひいてる。


今、帝国ガルディアのせいで国が滅ぼうとしているのに…


「そなたの母君がルチアとして帝国ガルディアの国王を信じたのなら、間違いは無いのだろう。時が流れば、人は変わり、その力を授けた本当の意味も忘れさられてしまう。今の帝国ガルディアはその意味も知らぬのであろう」



「………国王様……」



なんて心の広い人なんだろう…
心も視野も広い。


これが…ルアーネの王…


「お母さんの授けた力が、争いの為に使われるのは嫌です。お父さんの思いも、傷つける事は許せません」


だから……



「私は力を奪います。このルチアの力を使って」


ルリのような人をこれ以上増やしてはいけない。


お父さんとお母さんの為にも…


ルカの願いの為にも…









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