ルチア―願いを叶える者


「レイズっ…王子っ!!」

「ヒヒヒッ…」

「あっ…あっ!!!?」


―ドクンッ


―必要ない…


「えっ………?」


今、レイズ王子の声が…


―俺は…要らない…


やっぱり!!!
一体どうして……


「レイズ…王子……?」


私を見下ろすレイズ王子を見上げる。


その瞳に光が無い。
おかしい……


「あなたに一体何がっ…あっ…」


―ビリビリビリッ



レイズ王子が私の上着を引きちぎった。


「ルチア…と…一つ…に…」


なっ…
一つにって………!?


「ハァッ…」

「い、嫌あああーっ!!!」


レイズ王子の唇が私の唇に触れそうになった瞬間ー…



「はぁぁっ!!!!」


―ドンッ

「グハァッ!!!!」


突然覆いかぶさっていたレイズ王子が吹き飛んだ。


「あっ………?」


涙が滲んだ瞳で視線を動かすと、そこには…


「…はぁっ…全く…あなたと言う人は、何かしら厄介事に巻き込まれるようです…ね……」


肩で息をするアルが立っていた。


「あ…アルっ…」

「…全く…あなたは手がかかる…」


すぐに私を抱き起こし、そのまま私の頭を撫でた。



「アルっ……」

「もう大丈夫です…」


良かった…
アルが来てくれて良かった…


でなきゃ私はっ…


そう思うと体が震える。
アルが来てくれて良かった…


「…レイズ王子……」

「っ!!」



アルは今までで聞いた事が無いくらい低い声と冷たい瞳でレイズ王子を睨みつける。


「ルチアァ…一つに…」

「ふざけた事を…」


アルが…怒ってる…?
いつも余裕な笑みを浮かべてるのに…









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