ルチア―願いを叶える者


「…王族であろうと、あなたの行為は許せませんね」

「ヒヒヒッ…」

「何がおかしい…」


―俺に…居場所なんかないのだ…


「…え……?」

―皆、俺を見てはくれない…


―トクンッ


あ…何でかな……
こんなに悲しい気持ちになるのは…


声が泣いているように思えた。


「あなたなの…?レイズ王子…」


―誰…も……俺は必要無いんだ…


「どういう事です、花音」

「…声が聞こえるの、レイズ王子の声が…」


「それなら俺にも聞こえますが…」


「…違うの、心の声…みたいなものが…」


―もう嫌だ…
必要とされないのはもう…


「嫌ダァァァ!!!!」


「っ!!!?」

「何です!?」


―ヒュンッ


「グガアァーーッ!!!」


レイズ王子が叫んだと同時に、レイズ王子の体からツルのような飛び出した。


―ニュルニュルッ


ツルはレイズ王子の体を飲み込み、私達に襲い掛かる。


「ふっ!!!」


―ザシュッ


襲い掛かるツルをアルが叩き斬る。


「…これは……」


ルリの力……
憎しみと悲しみを糧に膨れ上がった闇の力だ…


「どうしてっ…?」


ルリはここにいない。
なのにレイズ王子がなんで…








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