ルチア―願いを叶える者
「私はあの時、あなたの思いも知らずにあなたを否定してしまった…」
―お前も、兄上も、父上も…俺を見てはくれない…
「…私もね、ずっと孤独だと思ってたの」
養子に出されて、居場所も見つけられなくて…
「世界でたった一人だと思ってた」
でも……
私には両親が、アルやシェス、ロイがいた。
「お願い、心を閉ざさないで。あなた自身を見てくれる人は必ずいる。私も、その一人になるから」
―…嘘だ……
「嘘じゃないよ」
―俺を否定したじゃないか…
「それはあなたを知らなかったから。今ならあなた自身と向き合える」
居場所は必ずある。
それは自分で作るものだって知ったから…
―……………………
「あなたはこの国の王子でしょ?あなたはこの国に必要とされてる」
―…俺なんかいなくても…
「今、ルアーネは危機を向かえてる。知と武に長けているあなたしか、シェスや国王様を支える事は出来ないんだよ!」
―だが…ルチアがいれば…
「私は…剣を使って戦えない。自分の身すら守れない無力だよ。でも、私には私にしか出来ない事をするつもり」
―自分にしか出来ない事…
「そう。あなたにしか出来ない事がたくさんあるよ」
だから…もう一度頑張ろう。闇になんてのまれないで…