ルチア―願いを叶える者
「レイズ…王子…」
私はよろよろと立ち上がってレイズ王子の前にしゃがみ込む。
「お帰り、レイズ王子。あなたの居場所はここだよ…」
「っ…俺はっ……」
レイズ王子は涙を流していた。
なんだか私を見ているようでほって置けなかった。
同じように居場所を探しては自分に失望して…
それを繰り返していくうちに、何も信じられなくなって…
「辛かったね…。頑張ったね、レイズ王子…」
誰にも認められない。頑張っても頑張っても手に入らない…
それでも誰よりもも努力したあなたを、私が認めるから…
「力を貸して、レイズ王子。ルアーネを一緒に守ろう!あなたの力が必要なの!」
「…俺が必要……?俺でも、役に立つ?」
「あなたにしか出来ないよ。あなたが必要なの」
ねぇ、だから信じて…
私の言葉を信じて。
私と同じ、孤独の檻に捕われた人…
「あぁ…俺は、ちゃんと認められたい。俺という存在を…」
「…認めるよ、私も皆も…ね?」
レイズ王子は頷く。
それから、少し恥ずかしそうに笑った。