ルチア―願いを叶える者


「レイズ…王子…」


私はよろよろと立ち上がってレイズ王子の前にしゃがみ込む。


「お帰り、レイズ王子。あなたの居場所はここだよ…」

「っ…俺はっ……」



レイズ王子は涙を流していた。


なんだか私を見ているようでほって置けなかった。


同じように居場所を探しては自分に失望して…


それを繰り返していくうちに、何も信じられなくなって…


「辛かったね…。頑張ったね、レイズ王子…」


誰にも認められない。頑張っても頑張っても手に入らない…


それでも誰よりもも努力したあなたを、私が認めるから…


「力を貸して、レイズ王子。ルアーネを一緒に守ろう!あなたの力が必要なの!」


「…俺が必要……?俺でも、役に立つ?」


「あなたにしか出来ないよ。あなたが必要なの」



ねぇ、だから信じて…
私の言葉を信じて。


私と同じ、孤独の檻に捕われた人…



「あぁ…俺は、ちゃんと認められたい。俺という存在を…」

「…認めるよ、私も皆も…ね?」



レイズ王子は頷く。
それから、少し恥ずかしそうに笑った。










< 356 / 403 >

この作品をシェア

pagetop