ルチア―願いを叶える者
「俺の全てを…知りたくはないですか…?」
アルが私に覆い被さる。
私はただ呆然とそれを見上げていた。
「花音……?」
「っ!!!!?」
スッとアルは私の頬を優しく撫でる。
名前を呼ばれた瞬間、体が甘く痺れた。
「ふっ……」
妖艶に笑い、私に顔を近づける。
「あ……」
この後に起こる出来事を想像して顔に熱が上がる。
「その怯えた顔も、なかなかそそりますね…」
「っ!!!!!」
体がおかしいっ…
これ以上何か言われたら、溶けて消えてしまいそうっ…
「愛していますよ…」
でも何故か、それを聞いた瞬間、涙が流れた。
そんな私を、アルは驚いたように見つめる。
「花音………?」
「ごめんっ…嬉しくてっ…」
「嬉しい………?嬉しいのに泣くんですか、あなたは」
アルはまだ不安そうに私の涙を拭う。
「嫌なら嫌と言っていいのですよ?俺は花音、あなたを大事にしたい…」
「アル…」
私が泣いたから嫌だと勘違いして……?
「本当に違うの!!私、アルに愛されてるんだって思ったら嬉しくて…嬉しくて、胸がいっぱいになっちゃって…」
私もこの人を愛してるんだって実感した。
私が誰かを愛する日が来るなんて思ってもみなかったから…