ルチア―願いを叶える者
「お前がルチアだな」
「!!!!」
その声にハッと我に返ると、マナロフ王が私を見ていた。
先程まで見えていた幻は消えている。
「そういえば、お前をさらって、牢に入れて置いたのに、いつの間にか逃げられていたな」
「!!!!」
それってあの時……
目が覚めた時、冷たい牢にいて…
あれが帝国ガルディアだったなんて…
「あなたが花音を…。殺して差しあげます」
アルが殺気を放ちながらマナロフ王を睨みつける。
「くくっ…面白い。あのルチアの生まれ変わりばかりか、ルアーネの神盾にも会えるとは。話には聞いていたが、面白い余興だな、悪魔よ」
「であろう?マナロフよ」
王座の後ろから、ルリが現れる。
否、ルリの体を乗っ取った悪魔だ。
「我はな、ルチア。お前と同じ、当事者の生まれ変わりよ」
「じゃああなたは……100年前に君臨していたマナロフ王…」
「お前はルカの生まれ変わりだな」
こんな事って……
私の前世がルチアだったように、マナロフ王までもがまたガルディアの王になるなんて…
「我とて神。人の転生を操作する事など容易い」
そんな……
私はまた、同じ歴史を繰り返しているの?
「同じ歴史を繰り返す為の役者が揃った。これでベレスレリアは滅びる」
滅びる……?
ルチアの想い、命…
沢山のものが犠牲になった。
それを……
「簡単に滅びるなんて言わないで…」
「何………?」
「ルチアが、その大切な人達が命懸けで守ってきたこの世界は、滅ばせない!!」
私には、この手に色んな想いが、沢山の命が託されてる。
それを…
誰にも奪わせない。
「悪魔、あなたの勝手な理由でベレスレリアは滅ばせない」
これは私の決意。
揺るがない想い。