ルチア―願いを叶える者


「お前がルチアだな」

「!!!!」


その声にハッと我に返ると、マナロフ王が私を見ていた。


先程まで見えていた幻は消えている。


「そういえば、お前をさらって、牢に入れて置いたのに、いつの間にか逃げられていたな」

「!!!!」


それってあの時……
目が覚めた時、冷たい牢にいて…


あれが帝国ガルディアだったなんて…


「あなたが花音を…。殺して差しあげます」


アルが殺気を放ちながらマナロフ王を睨みつける。


「くくっ…面白い。あのルチアの生まれ変わりばかりか、ルアーネの神盾にも会えるとは。話には聞いていたが、面白い余興だな、悪魔よ」

「であろう?マナロフよ」

王座の後ろから、ルリが現れる。


否、ルリの体を乗っ取った悪魔だ。


「我はな、ルチア。お前と同じ、当事者の生まれ変わりよ」


「じゃああなたは……100年前に君臨していたマナロフ王…」


「お前はルカの生まれ変わりだな」



こんな事って……
私の前世がルチアだったように、マナロフ王までもがまたガルディアの王になるなんて…


「我とて神。人の転生を操作する事など容易い」


そんな……
私はまた、同じ歴史を繰り返しているの?


「同じ歴史を繰り返す為の役者が揃った。これでベレスレリアは滅びる」


滅びる……?
ルチアの想い、命…
沢山のものが犠牲になった。


それを……


「簡単に滅びるなんて言わないで…」

「何………?」

「ルチアが、その大切な人達が命懸けで守ってきたこの世界は、滅ばせない!!」



私には、この手に色んな想いが、沢山の命が託されてる。


それを…
誰にも奪わせない。


「悪魔、あなたの勝手な理由でベレスレリアは滅ばせない」


これは私の決意。
揺るがない想い。







< 381 / 403 >

この作品をシェア

pagetop