ルチア―願いを叶える者
「嘘でしょう?俺は幻覚を見ているのでしょうか…?」
アルの声は震えている。
私は浮いたまま、アルの頬を両手で包んだ。
「現実だよ。私はここにいる。生きてるよ…」
「そんなっ…あなたは死んでしまったとばかりっ…」
「私がこの世界の神子になる代わりに、命をくれたの」
私は先程の話をかい摘まんで説明した。
「では…本当に……?」
「本当に、本当。あなたの傍にずっといられる」
ずっとずっと一緒に…
命が尽きるまでずっと…
「流れ星のおまじない…」
「え…?」
アルの言葉に、私は首を傾げる。
流れ星のおまじないって私が教えた…
「俺は、あなたが幸せになりますようにとお願いしました。ですが、俺が幸せになってしまいましたね」
アルは笑う。
でも私は、首を横に振った。
「私の願いも、アルの願いも叶ったんだよ」
だって私はあの時…
「私、アルが幸せになりますようにって願った。そして今私は幸せだから」
二人の願いが、奇跡を起こした。
「ねぇアル、私はここで生きていく…あなたの隣で。ずっと一緒にいてくれる?」
「あなたが言うまでもない。俺が、あなたを手放せないほどに愛しているんですから…」
そう言ってアルは私に口づける。
私の愛した人と、愛した世界で、永久の愛を誓う。
永遠に、この世界の幸せを…
そこに住まう人々の幸せを、私は願い続ける。
この世界の希望の光となって……