ルチア―願いを叶える者


「レイズ王子…」


レイズ王子……?
あ…アルが言ってたシェスの弟の……


見てみればそうだ。
シェスと同じ青色の髪だ…


「アル、これを兄上はどう責任をとると?」

「…はい、勿論原因を突き止める事です」

「ふんっ、それが出来なかったくせにな!」

「…………………」


な、何この人!!!
シェスが何したって言うの!?


シェスは…


「シェスは守ろうって頑張ってた!!シェスを責める権利なんて誰にもないよ!!」

誰にも…ないんだよ!!!


「お前、俺が誰だかわかって………なんだ娘、変わった風貌をしているな」



レイズ王子が物珍しそうに私に近づいてくる。


それをアルが無言で私を背に庇った。


「アル…」

「花音、あなたは黙ってなさい。全く、一番厄介な人に目をつけられて…」


アルは呆れたようにため息をつく。


「アル、俺はその娘が見たいんだが?」

「彼女はシェス王子の大切なお客様です。失礼ですが、手は出されませんよう」


アルは悪魔の笑みをレイズ王子へ向ける。


アル…すごい怒ってる…?


「兄上が……おもしろい。娘、俺の元に来る気はないか?」

「へ…?」

「俺はお前のどんな願いも叶えられるぞ?」


どんな…願いも……


「あなたに私の願いは叶えられない」

「なんだと…?」

「私の唯一の願いを叶えててくれるのは、シェスとアルだから」


私の大切な人を探してくれるって信じてる。


二人なら見つけてくれる…


「私はあなたに何も望んでない」

「お前…………」


レイズ王子は何故か泣きそうな顔をする。


…え…………?



「お前も俺を否定するのか…」


小さくそう呟いた。


「チッ…せいぜい足掻け。どうせ兄上には出来やしないんだからな」



レイズ王子はそのまま去ってしまった。


「あの人………」


本当は寂しかったのかな?
継承権って長男から与えられるものだし……







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