ルチア―願いを叶える者
「あなたのその気持ちだけで、俺とシェスは救われていますよ」
「アルっ……」
「そんな泣きそうな顔をしないで。不細工になりますよ?」
ぶ、不細工って……
「不細工なのはわかってるよ!!」
「はぁ…。あなたは何もわかっていませんよ…」
「?」
アル、何が言いたいんだろう?
「あなたは綺麗なのだから、その顔を歪めるなと言ってるんです」
「なっ…………」
アルが…アルが今何か言ったよ!?
聞き違い!?
空耳!?
「さぁ、城に着きますよ。そんな赤い顔、シェス王子に見せないで下さいよ。変な誤解を生みます」
「誤解って…アルが悪いんじゃんか!!」
「へぇ…。俺の言葉が、あなたをそんな顔にさせた…という事ですね?へぇ…」
なんか意味深なんですけど!!
は、恥ずかしい!!!
「もう!!!アルなんか嫌い!!」
「はいはい、あまり暴れないで下さい」
―フワッ
「え……」
後ろからアルが片手で私を抱き寄せる。
「落ちたくないならじっとして下さい。俺も、大事な友人に怪我はさせたくありませんから…」
アルは小さく呟いた。
友人…友人って…
アルは私が友人って認めてくれたんだ。
良かった…良かった!!!
「アル…ありがとう…」
「何がです?変な友人を持つと大変です」
「むっ…」
「怒りましたか?」
…怒らない。
だって……………
今は嬉しさが勝ってるから…
「私、アルの事好きだよ」
「っ!?なんです?いきなり…」
「え?あ、本当は優しい事に気づいたから…。だからアルも大好きな友達!」
「そ、そういう事ですか…。紛らわしい」
ま、紛らわしい!!?
しかも盛大なため息つき!!
「あなたのは無意識ですね。この先が思いやられる…」
「??」
そんなこんなで、何が何だか分からない間に、私達は城へと着いた。