ルチア―願いを叶える者
『花音、君がこの力を恐れ、使う事を躊躇ってくれるから、君を選んだんだ』
「使って欲しい…じゃなくて?」
『僕はこの力を使わないでくれる人を探していた。この力は、使う者も使われた者も幸せにはなれないから…』
ルカ………
私、ルカの思いがわかった。
この引き継がれる悲しみを、ルカは止めようとしてる。
「ルカ……」
『ずっと探してた。やっと花音、君を見つけた。ごめん、こんな事を押し付けて、それでも……』
ルカ、ずっと苦しんで…。
「ルカ、私が使わなければ、ルカは幸せになれる?」
そんな辛い顔じゃなくて、いつもみたいに笑顔になれる?
『花音……』
「私、ルカのお願いを叶えたい。ルカの為に私にしか出来ない事があるなら、私が叶えるよ、ルカ』
ルカに出会ったのは本当に最近。
夢の中だけで会える大切な人。
いつも心に寄り添ってくれた人…
『花音、ありがとう…。僕は君を……』
そこまで言ってルカは私の額に口づけた。
「!!!」
ルカっ……!?
どうして急に……っ…!!
―ドクンッ
何だろう…
胸が熱い。
何かが……おかしい…