ルチア―願いを叶える者
今は…アルが意地悪でいてくれたから、私も普通にしてられる…
シェスに言われた事、今でも頭から離れない。
二人の傍を離れるか…
傍にいるか…
「ねぇアル………」
「…はい?」
「私………っ……」
あぁ……
話す前から泣きそうだ…
どもって言葉がでない…
「シェスに…言われたんですね…」
「あっ………」
アルも知ってたんだ…
「私は、反対も賛成もありません。あなたがどうしたいか、それだけです」
「私が…どうしたいか…?」
アルは頷く。
私が…私が望んでるのは…
「傍に……。無力だけど、傍にいたい…」
二人の傍にいたい。
「なら、いればいいんですよ。あなたの想いは、誰にも邪魔する事は出来ない。その想いを貫けばいいんです」
「あ…私……」
傍にいたいって願ってもいいんだ…
この気持ちに素直に…
「傍にいさせて…。二人の傍に……」
「それはこちらの台詞です。俺もシェスも、もう花音を大切に思っていますよ。あなたが望むなら、俺がそれを叶えます」
「アル………」
いつも意地悪なアルが優しい…
なんだろう…
すごく嬉しい……
「さぁ、早く寝なさい。背が伸びませんよ」
「も、もう伸びないよ!!」
私の成長期はとうに終わってるよ!!!
「ほら…」
「あ…」
アルは私の頭をポンポンと優しく撫でた。
「部屋まで送ります」
「…うん…」
少し照れ臭い。
アル……
励ましてくれてありがとう。
私…迷わずに傍にいる。
あなた達の傍に…