ルチア―願いを叶える者
「ここで立ち話もなんだ、城へ案内しよう」
そうナルに提案されるまで、私は町中にいた事を忘れていた。
「そうだな、さすがに体が冷えた」
シェスの言うとおり、メテアラは太陽が昇らないせいで気温が低い。
それに……
人がいない。
正確に言うと、人が外へ出ないのだ。
「花音姫はメテアラに来るのは初めてかい?」
「うん……」
こんな人がいない場所は初めてかもしれない。
「この国をどう思う?」
城へと向かいながらナルは尋ねた。
言いづらいけど……
「とても寂しい…。人の賑わいも、温かみも感じない…」
冷たくて、孤独を感じる…
「そうだね…。でも、以前はこんな寂れてはいなかったんだ…」
「それは、突然環境が変わった…とか…?」
「うん。突然、闇が広がった。この国は昔、太陽神の座す国と呼ばれていた…」
太陽神の座す……
太陽の恵みに溢れた国だったのかな…?
「光に満ち溢れ、人々の肌も日に焼かれ褐色になるほどだ。でも、闇が国を多い、気温が急激に低下したために、この国の人々は次々と命を奪われてしまった…」
「沢山の人が…死んだの…?」
「そうだよ…」
この寒さに凍えて、沢山の人々が…
それに、ナルも辛かったはずだ。
シェスが辛かったように…