ルチア―願いを叶える者
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ナルの計らいで、夕食を一緒に取る。
話題はメテアラの情勢で持ち切りだった。
「民はもう半数以上がルアーネ国へと移住しているからね、食料もそこそこだけど、何とかなってるよ。ありがとうシェス。国王様にも近々お礼に行かせてくれる?」
「ナル、気なんて使うな。父上も礼などいいと言っている」
ナルの民、ルアーネに来てたんだ…
「それより、こちらもすまない。メテアラの民に水が枯渇した事でさらに不安を与えてしまった…」
「シェス、それこそ謝る必要なんかない。君は結局、問題を解決し、民を守ったのだから」
シェス…沢山悩んでた。
それが報われたんだもん、シェスの力だ。
私は…シェスが迷い無く民の為に命を賭けられる人だと知ったから、だから…
この力を使った。
私をそうさせたのは、シェスの力だ。
「俺は何もしていない。水が蘇ったのは突然だった。消えた時と同じ。またいつ消えてしまうか分からない…」
シェス……
私…私がそんな事させない。
守るよ……
シェスやアルが守りたいモノ……
「全てが突然だからね…。見えない何かに脅かされているみたいで、腹立たしい…」
「消えるのも甦るのも、俺達の国を左右するのは見えない何かだ…」
ナルとシェスの言葉はとても重い。
見えない何か……
それは、甦らせた私の力も同じなんじゃ…
私の力が、シェスを不安にしてるの…?
このままシェスに黙ってていいのかな…
私、間違ってたのかな…