ルチア―願いを叶える者
「…私………」
知らず知らずに拳に力が入っていた。
「何を迷っているんです?」
その拳を包むように、誰かの手が乗せられた。
…え………?
驚いて顔を上げると、アルが私を見ていた。
「あなたの選択は、間違っていませんでした。結果的にルアーネを救ったんです、自信を持てばいい」
シェスやナルには聞こえないようにアルは呟く。
アル………
私、今迷ってた。
それが何故か恥ずかしい。アルは、私の選択を正しいと言ってくれた。
あの時も…
だとしたら、私は…
「ありがとう…アル」
最後まで隠し通そう。
嘘つきでいよう。
大切な人の、優しい心を守る為に…