ルチア―願いを叶える者
「だとしたら、星だというアスランは夜空に帰りたいのかもしれない」
「え……?」
夜空に帰りたい?
そんな風に考えた事はなかった。
「夜空を、月を恋しいと思い、強く輝いて居場所を示している…そんな風に見えない?」
夜空や月を恋しいと…
ここにいるよって輝いて…
「本当だ…。言われてみたら、そんな風に見える…」
寂しい…
帰りたくても帰れない花…
あれ……?
―ポタンッ
「花音姫、泣いてるの!?」
ナルが慌てたように私の涙を拭う。
だって……
「この子達、帰る場所があるのに、帰れない…。何度も居場所を伝えても、気付いてもらえない…」
それってすごく寂しい事だよ…
私には、帰る場所はあっても、心から帰りたい場所ではないから…
せめて、帰りたいと思う場所があるのなら、帰してあげたいと思う。
「…あなたは……」
ナルは困ったように笑う。