ルチア―願いを叶える者
「アル、傍にいてくれる?」
「…ええ…傍に…」
アルは私の手の甲にキスをした。
「わっ……」
アルも王子様みたい…
「ふっ…そんなに顔を赤くして…」
悪戯に微笑むアルに私は俯く。
「言わないでよ…恥ずかしい…んだから…」
「っ…あまり可愛い事を言わないで下さい…」
「えっ…?」
「何でもありませんよ」
アル……
今可愛いって……?
「さぁ、叶えるんでしょう?ナル王子の願いを」
ナルの願いは私の願い。
「うん…」
私は立ち上がりアスランの花の中心へと行く。
「夜にしか咲かないから、太陽が登ったらサヨナラだね…」
少し寂しい気がするけど、でも…
「あなた達を夜空に帰してあげる。そして…」
メテアラに、太陽をもう一度…
「ルチアの力よ…」
両手を組み、祈りを捧げる。そんな私を、アルが見守ってくれている。
「この国に、太陽を返して!!!」
―ピカアァァァ!!!
「っ…光!!?」
アルの声が聞こえた。
体から光が放たれる。
それは、幾千の光の花びらが散るように美しくまばゆい。
―ドクンッ
「っ………」
胸が苦しい…
痛い………っ!!!!
「はぁっ…あ……」
「花音!!!?」
あ…もう立っていられない…
「くっ!!!!」
グラッと傾いた私の体を、アルが受け止めた。