ルチア―願いを叶える者


「シェス、私はね…。私は、この世界で苦しむ人達の声無き願いに応えたい」

「声無き…声……?」

「ルアーネの水、メテアラの太陽のように、人の力ではどんなに願っても叶わない願いを叶えたい」


この広い世界で、ひたすらに救いの祈りを捧ぐ誰かの為に…


「私がこの世界にきた理由は、この世界でそんな誰かの為に願いを叶える事なんじゃないかって思う」


その願いが、また他の誰かを幸せにしてくれるなら、尚更…


「私は、もう迷わずに救いを求める誰かの為に力を使うよ」


それが私にしか出来ない事なんだから…


「…お前は何故そこまで…。異世界から来たお前が、どうしてベレスレリアを守ろうと?」

「シェスやアル、あなた達二人に出会えた世界だから…」

「!!!!」

「!!!!」


二人はまた驚いたように目を見張る。


二人がいたから、私はひとりぼっちにならずにすんだ。


「私を大切に思ってくれた二人がいたから、私は孤独にならなかった。私にとって、二人はこの世界で唯一のよりどころなの」


私の世界にもなかった帰る場所をくれた人達…


「二人に守られているだけじゃ嫌。私も二人を守りたい。それは、私の願いなんだよ」


全ては私自身が決めた事。


「…シェス王子、これ以上花音に何を言わせるんです?」


アルは呆れたように言う。


「俺達がこんなに好きだと何度も言ってるんです、女性にばかり言わせるのは忍びないですよ」


す、好き!!!?
好きと言えば好き…なんだけど、な、なんか恥ずかしい!!!!










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