ルチア―願いを叶える者
「アル、容赦ないなお前…」
シェスは鉄拳の落ちた私の頭を撫でてくれた。
「あなたが甘やかしすぎなんですよ」
出た!!!鬼畜!!!
「むぅっ!!」
シェスの後ろに隠れてシェスにしがみつく。
ここは安全地帯だもんねー!!
「お前がそんなだから、花音が逃げるんだぞ、アル」
「逃げたいなら逃げればいいんですよ。必ず捕まえて、イジメ倒して差し上げますから」
「ひぃぃっ!!!」
アルの笑顔がどす黒い!!
これはやばいって本能が警告してる!!!
―ガタガタガタガタッ
ふ、震えが止まらない!!
「おいおい、あんまり花音をイジメてくれるな」
「わーん、シェス〜っ!!」
この人鬼だよ!!
シェスだけが救いだよ!!
「ふん、まぁ、戯れはここまでにして…」
「戯れ!!?お、脅しの間違いじゃ…」
「ふふっ…」
「ひゃぁあっ!!!」
死ぬ!!!
殺される!!!
「はぁ……。話を戻すぞ。花音、お前の申し出、俺達が同行できるよう父上に話してみよう」
「え!?でも、シェスは王子様で、アルは側近なんでしょ!?そんな、同行なんて…」
「馬鹿ですか、あなた。あなたを一人で行かせたら、あなたは確実に利用される。あなたの力は、欲にまみれた人間にとって金より価値があるんです」
私の力………
そうだ、100年前のルチアだって…
「花音、お前は世界を救ってくれると言った。なら俺達は、お前自身を守る」
「あなたがこれからやる事は、この世界の人間全てを救う所業です。あなた一人では荷が重くても、俺達がいれば少しは容易になるでしょう」
シェス…アル……
「ありがとう…二人とも!!」
一人では無理でも、三人なら……