ルチア―願いを叶える者


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「帰るんだね…」


メテアラの門の前、ナルが私達を見送りに来ていた。


今日はルアーネに帰る日。ナルとお別れの日だ。


「ナル…」

「花音、君が帰ってしまうのが寂しいよ」


ナル………


メテアラは太陽を取り戻した。そしてナルはついに王位を継ぐ。


王様になるんだ。


「ナル、私も寂しい。でも、ナルはひとりぼっちじゃないよ」

「うん、私はひとりぼっちじゃない。私を信じてついて来た家臣、民がいるからね」


良かった……
ナルはもう大丈夫。


「不思議だね…」

「え……?」


ナルが私の髪を優しく掬った。


「花音姫がこの国来て、メテアラは救われた。ルアーネの国もそうなんでしょ?
姫は…救いの天使なんだろうか…」

「す、救いの天使!?」


な、なんて恥ずかしい事を…









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