ルチア―願いを叶える者


「ち、違うよ!!私はただの花音だよ!」

「ふふっ…私にとっては天使だよ」


―グイッ

「わっ!!」


―ポスッ


ナルに腕を引かれ、そのまま抱きしめられる。


「…姫と出会えたから、私は望みを捨てずにいられたんだよ…」

「ナル…」

「姫がいなければ、私はきっと壊れていたよ」


ナルの手に力が入る。


「違うよ、ナル。私がいなくても、あなたは逃げださなかったはずだよ」

「花音…」

「ナル、ナルはどんなに苦しくたって、あの場所に残っていたじゃない」


ナルは一人で戦ってた。
そんなナルの力になりたいと思った。


それは今も変わらない。


「ナル、どんなに遠い場所にいても、違う国にいても、私はあなたの味方だよ」


だからいつだって頼ってほしい。


あなたが望むなら、私は何度だってあなたを支える。


「それは、私も同じ。あなたの願いは、私が叶えるよ…」

「ナル…ありがとう…」


きっと、私達は同じ。
同じ孤独を知っているからこそ、私達には絆がある。


「また来てくれる?」

「もちろん!」


私達は笑顔でお別れをした。また会いに行こう。


この世界で数少ない私の大切な人に…………










< 97 / 403 >

この作品をシェア

pagetop