ルチア―願いを叶える者
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ルアーネ国
謁見の間
「…という事で、父上。私と我が側近、アルレイナ・スペロをベレスレリア各国救済の為、諸国を回る事をお許し願いたい」
「救済…手だてはあるのか?具体的にどう救済するのかも分からないうちは返事は出せんぞ」
「っ…それは…」
あぁ…そうか…
シェスは私がルチアである事を隠そうと…
「国王様!!」
「花音!?」
シェスは驚いたような顔を私に向ける。
「私は、この世界でルチアと呼ばれる存在です」
「なんと!!!」
国王様は驚きで声を上げた。
「私は、前ルチアから選ばれた現ルチアです」
「まさか…お主がルチア…。このルアーネを救った時、まさかとは思っておったが…」
「この世界、ベレスレリアの災厄は、100年前のルチアによってもたらされたものです」
「!!!どういう事だ!?」
シェスは私を見る。
これは、私も最近知った事だから、アルやシェスには話せなかった。
今この機会を借りて話そう。
誰も知ろうとしなかった、ルチアの悲しみを…
「100年前のルチアは、この力のせいで利用され、この世界に深い憎しみを抱いていました…」
そう、ひとりぼっちなこの世界で、頼れる人間もいなくて、彼女は悲しみに暮れた。
「そして、ルチアは願ったんです。自分を利用した人間と、その世界への復讐を…」
力を蓄えて、やっと復讐をするまでにまで膨れ上がった憎悪と力…
「彼女はきっとこの世界の全てを壊します。だから、私は、この世界を守ります」
それが、私がルチアになった理由なのかもしれないから…
「なんと…それは、お主に与えられた天命なのかもしれぬな…」
国王様は思い詰めたように呟く。
「新たなルチアよ、その申し出、ありがたく承ろう。アルレイナ!!」
「ハッ!!」
名前を呼ばれたアルは国王様の前にひざまずく。
「アルレイナ、お前の剣で息子とルチアを守ってくれ」
「御意!!私、アルレイナ・スペロは、この剣を主を守る盾とする事を誓います」
アルは剣を立て、誓いを立てた。
すごい……
これが騎士…なんだ…