ルチア―願いを叶える者
「シェス、お前が世界を守りきった時、私は王位をお前に継承させる」
「!!!!…私の試練…という事ですね」
シェスは迷いのない視線を国王様へと向ける。
これは、シェスにとっても大切な旅になるんだ。
「各国にお前達が自由に入国出来るように私が伝達を送っておこう」
「ありがとうございます」
私は深々と頭を下げた。
「それはこちらの台詞だ。ルチア、我が国を救ってくれた事、礼を言う。どうか、同じ苦しみを抱える者達を救ってくれ…お前の手で」
私の…手で……
私にしか出来ない事を。
たとえ…
たとえ、この命を犠牲にしても…
誰からも必要とされなかった私。
あの世界ではなかった居場所をくれたアルやシェスの為に…
私を必要としてくれる人の期待に応えたい。
今まで生きている意味が分からなかった。
生きているのに、心は死んでいた。