とある陰陽師の日常風景
僕は夏が嫌いだ。
今までは何となく嫌いだった。
だが、今年ハッキリと分かった。
熱気籠もる室内。窓を開けようにも書類が土砂崩れの危険があるため開けられず、室内は、熱気と隊員達の汗とゴミ箱、その付近に山のように置かれる使用済み食器、ゴミ袋からの臭いが充満していた。
「おい楓、流石に掃除しなければ虫の住処になるぞ」
副隊長の声に反応する隊員五割、仕事を終わらせようと必死になる隊員三割、連日徹夜の為爆睡するのが二割。
「最後に掃除したの何時だっけ?」
「二ヶ月半前だ」
「ハハハハ。うゎ、ちょっとまずいかな?」
「ちょっと所では無い。今すぐ仕事終わらせ掃除をす‥」
隊長と副隊長の間を横切る、黒くツヤツヤ、一匹見つけたら三十匹はいると覚悟しなければならない、主婦の敵G。
その名もゴキブリ。
しかも通常サイズの三倍の大きさ。
「‥今すぐ仕事終わらして掃除します」
「ああ。是非そうしてくれ」
こうして真夏の五番隊大掃除は行われる事となった。