一恋。 ~君が教えてくれた事~

入学式が終わり、教室に入る。
私の席は大好きな窓側。
日も当たるし風もくる♪なによりぐっすり眠れる♪
この高校は、初めの席は名前の準とか関係ないようで…。
だから窓側の一番後ろになれた♪
先生の自己紹介に飽き、窓の外に目を向けた。
相変わらず、桜の花びらは空を飛んでいた。
思い出すなぁ…。君と出会った、3年前の春。
私はその時、初めて恋をした。









《ジリリリリリリリリ》

「ん…。ヤバッ遅刻!?」
慌てて制服に着替えて、階段をかけ降りた私は
転びそうになりながらもリビングのドアを開けた。

「なんで起こしてくれないのぉ!?」
「何回も起こしたよー(笑)」
とママ…。なんでそんなにのんきなのぉー!?
ママにあきれながら、コップに入っていた
レモンティーを飲み干し玄関に向かった。
慌てて靴をはき、ドアに手をかけた。
「行ってきまぁすっ!」
「いってらっしゃい♪遅れないようにねー!!」
でた。ママののんきな性格。
もぅほんっとに呆れる!
玄関のドアを勢いよく開け、外に飛びだした私は
全力で走った。
私が遅いのか、周りに人は居なかった。
ここを曲がってまっすぐだよね!?
ほとんどパニック状態の私は、中学校への道さえ
忘れそうになっていた。
《ドンっ!》
曲がり角を曲がった瞬間、私の体は強く突き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
びっくりして声が出ない。
自分で立とうとしたその時
「ゴメンね、大丈夫?」
私を起こしてくれた彼の手は
とても大きく、温かかった。

「ご!ごめんなさい!ケガしてませんか!?」
彼も転んだのか 手から少し血がでていた。
「あぁ。大丈夫大丈夫!それより君は?」
「ぁ!私はホントに大丈夫です!ホントにすいませんでした…。」
「ホントに気にしないで!ってか、俺も悪いし!」

と言いながら、彼は白くてキレイな歯を見せて笑った。
「あ!手のキズ。私、バンソコ持ってる!」
私は、とにかく自分でできる限りの事をした。
彼の手に消毒をしてバンソコをはった私は、

「すいません!急いでるので…また!」
とだけ言い残し、また走り始めた。
なんとか入学式に間に合った私は
友達と一緒にクラスに入った。
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