【短】君の翼にキスしたい【密フェチ】
「いっつも、ここにおんねんな」
不意の声に振り向くと、後ろ手に扉を閉めながら入ってきた彼、
そのまま歩いて窓際に立つ。
夕日を浴びて、白いTシャツがオレンジ色に染まっている。
顔合わせずらいなーって思っていたのに
でも会えたら、やっぱり嬉しくて
矛盾してる心に、小さな溜め息が漏れた。
「ここ、グラウンドからよー見えてん。
図書室におるくせに、本も読まんと外ばーっか見とるし」
ふっと短く笑って、瞳を細め遠くを見つめる横顔。自然と目が、そのシルエットをなぞってしまう。
……また、胸の奥が苦しくなるよ。
どうして、ここへ来たの?
部活、出なくてもいいの?
声にできないま、見つめていると
視線を感じたのかな..…?
指先でぽりぽりと耳の上辺りを掻いて、こっちを向いた彼、
ちょっと躊躇うように声を発した。
「なぁー..…昨日のあれ、やけど」
また、そんな顔するんだね。
胸が… 痛くて、痛くて、つらいよ。