【短】君の翼にキスしたい【密フェチ】
 
「いっつも、ここにおんねんな」


不意の声に振り向くと、後ろ手に扉を閉めながら入ってきた彼、
そのまま歩いて窓際に立つ。

夕日を浴びて、白いTシャツがオレンジ色に染まっている。


顔合わせずらいなーって思っていたのに

でも会えたら、やっぱり嬉しくて
矛盾してる心に、小さな溜め息が漏れた。


「ここ、グラウンドからよー見えてん。

図書室におるくせに、本も読まんと外ばーっか見とるし」


ふっと短く笑って、瞳を細め遠くを見つめる横顔。自然と目が、そのシルエットをなぞってしまう。


……また、胸の奥が苦しくなるよ。


どうして、ここへ来たの?
部活、出なくてもいいの?


声にできないま、見つめていると
視線を感じたのかな..…?

指先でぽりぽりと耳の上辺りを掻いて、こっちを向いた彼、

ちょっと躊躇うように声を発した。


「なぁー..…昨日のあれ、やけど」



また、そんな顔するんだね。
胸が… 痛くて、痛くて、つらいよ。




 
< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop