一族
三日前。

太陽が中天の空に差し掛かった頃。

森の奥深く、小川沿いのわずかに開けた土地に建つ、小さな小屋の中で、少年はいつも通り遅い目覚めを迎えた。

目覚めた途端、北の方の森が気になった。

何が気になったのかは分からない。

まだ寝ぼけている五体に、何かが触れてきた、と感じたのだ。

触れてきたものが何であるのかも、当然分からない。

少年は頭を掻きむしり、気のせいだと思うことにした。

実際に、今は何も感じないのだ。

少年は部屋の角にある甕の中から水を汲み薬缶に移すと、それを炉にかけ、手をかざして火をおこした。

炉は石でできており、底に炭が敷いてある。

湯を沸かすだけでなく、串に刺した肉や魚を焼いたりもする。

湯が沸くと薬缶を火から離し、その中に茶の葉を放り込んだ。

目覚めてから茶を一杯飲むのが、いつもの習慣だった。

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