I love you.【更新休止、詳しくは感想ノートへ】
だが、悪い気はしない。
むしろ助かっている。
「もう、行くわ」
「行ってらっしゃいませ」
母親はすぐに仕事へと出掛けた。
淡々と食事をとっていると、父親が入ってきた。
少し後ろには、この家の二人目の家政婦、雪野が荷物を持っている。
父親は俺を見付けるといきなり怒鳴りつけた。
「お前、よくも私に恥をかかせてくれたな!!」
朝っぱらからうるさいな、と思いつつも食べるのをやめた。
そして、右頬に激痛が走った瞬間、俺は勢いよく椅子から転げ落ちた。
嗚呼、またか。
そう思い乍抵抗は出来ず、ただただ痛みに耐えるだけだ。
何度も何度も蹴ってくる父親に。
浴びせられる罵声に。
「だ、旦那様っ! お辞めください!」
横目で、美樹が震えながら何度も言う。
雪野は黙ってただ見ているだけだ。
「私に逆らうのか!?」
ギロッと音が出そうな勢いで、父親は美樹を睨む。
美樹は途端に黙り込んだ。
「い、いえ…。申し訳ありませんでした」