熱を這わせて
「あ……」
小さな声に吐息も含める。わざと。
もう一度カードを通す。
「どうして?」
手にしたカードと開かないドアをじっと見つめていると、
背後から笑い声。
「お前カードキーの使い方下手だよな。
いつもみたいに俺が開けてやるって言ってるのに」
「大丈夫。自分で開けます。先輩の部屋は隣りですよ。
シャワー浴びてから、上のバーに集合でいいですよね」
普段はしない、上目使いで唇をかみしめて。しばらく見つめた。
そして、3度目。やっぱりドアは開かない。