【短】匂いの記憶 -Another Story-
彼女と初めて会ったのは、大学のサークル。
隣に座った彼女から香る爽やかだけどちょっと甘い匂い。
女の子の香水はあまり好きじゃない。
鼻にツンとくるような甘い匂い。
でも彼女の匂いはそうじゃなかった。
メンズもの?
ってことは男がいるのか?
余計なことばっかり考えて、なかなか彼女に近付けない。
「ねーねー、あたしおんなじ香水使ってみたんだよー」
なんて女友達が言ってきたけど。
この匂いは俺だけで十分なんだ。
俺は彼女のあの匂いが好きなんだ。