【短】匂いの記憶 -Another Story-
卒業式の日。
『この匂い、好き。あたしもおんなじ香水使おうかなぁ』
って言ってくれた彼女。
そう言ってくれてすげぇ嬉しかった。
でもなんだかてれくさくて、
『俺はお前のその匂い、すげぇ好きだよ?』
ってごまかした。
またやわらかく笑った彼女。
俺、お前のこと好きだわ。
って言いたいけど、見えない香水の持ち主が気になる臆病な俺。
結局言えないまま、離れてしまった俺と彼女。